聖夜のつどい ほぼ全文 その4

その4になります。

太宰「いつもとあまり変わりないが、いつもより随分と暗いな。」 「ふふふ」
太宰「まぁ、ドイルがいないというのが一番の原因かもしれないが。」
レン「何言ってるんですか、ドイルさんはここにいますよ。」
太宰「それもそうだ。」

スタッフ「それではお皿、おさげいたします。」

太宰「ドイル君」 ドイル「はい」 太宰「何か楽しげじゃないか?」 ドイル「いえ」
レン「何か面白い事でも起こったのかい?」
ドイル「いや、なかなか・・・楽しい会だなと思いまして。」
太宰「それはいい。」
太宰「ぜひ・・・面白い善行を楽しみにしている。」

ファ「ドイル君どうしたのかい?」
ドイル「ないです。特に問題はないです。」
ファ「それならよかった。」
スタッフ「おさげいたします。」
レン「この会には慣れてきたかい?」
ドイル「いや、まだなかなか・・・慣れないですね。」
ファ「フフフフ」
レン「やっぱりそうだよね。」
ファ「とはいっても本番はこの後の善行発表会ですから。」
レン「まだだいぶ緊張しているように見えるね。」
ドイル「そう、ですね。んん。」
レン「そういう時は、手のひらに人と三回書いて飲み込むといい。と聞いたことがあるよ」
ドイル「では、発表会で試してみる。」
レン「ハハハ、それがいい。」

ドイル「善行の発表の順番とかは決まっているんでしょうか。」
レン「どうなってるんだい?」
ファ「まぁ、こ、この会に参加している歴の深い順ということで。」
ドイル「深い順」
ファ「太宰、レンブラント、最後にドイル、君にお願いしようと思っている。」
ドイル「なるほど。」
レン「いきなり大トリなんてプレッシャーだろうけどね。」
ドイル「そうですね。」
ファ「レンブラント、あんまりそう言ってやるな。」レン「アハハハハ」
レン「自分が入ったころを思い出していたんですよ。」
ファ「誰しも最初というのがあるものだから。」
ドイル「はい。」
ファ「緊張しないでいいと思うよ?」
ドイル「ありがとうございます。」
スタッフ「失礼します・・・」

ドイル「ちなみにこれはえー。先ほど深い順、入られて深い順だとお伺いしましたが、ほかの方はどの、どの程度とかは。」
ファ「まぁ・・・あまりあの聖夜協会という会に君は入ったばかりだからあまり分かっていないかもしれないが。」 ドイル「はい。」
ファ「会員、それぞれの、できるだけ、プライバシーは守られるようになっている。そういった質問は避けたほうがいい。気を付けたまえ」
ドイル「以後気を付けます。」
太宰「まあ我々も常に参加するわけではない。いずれチャンスは来るだろう。」
ファ「まぁ、これから追々学んでいけばいい事だ。」 ドイル「はい。」

無言、太宰は赤ワインを飲み干す。
レン「なあ太宰?前々から疑問に思っていたんだが、なんでクリスマスの会に和服なんか着てくるんだい?」
太宰「そもそもクリスマスは祝う会ではない。そこに、服装など関係あるまい。」
ファ「はぁ・・・その点に関しては太宰の言うとおりだな。」
太宰「それにこれが私の正装だ。」 レン「んー、なるほどね。」
太宰「人のスタイルや服装に関する口出しは、実に不愉快だな。」 レン「んー。」
太宰「君も突っ込まれたくない部分は多くあるだろう?」 
レン「フフフフフ、さあどうでしょうね?」
太宰「最近の君が一番気味が悪い。」
レン「やだなー。あなただってそういう風に人のスタイルを、深入りしてくるじゃないですか。」

レン「なあドイル。」 ドイル「はい。」 
レン「これは個人的な興味で聞くんだが、君は何か好きな絵なんてあるかい?」
ドイル「好きな絵ですか?」
レン「何でも構ん、構わないよ。」
ドイル「好きな絵・・・・・自分は、特には。」レン「そうかい。」
ドイル「ありますか、逆に。好きな絵はありますか?」
レン「んー・・・・そうだな。ありきたりかもしれないけれども、自分は名前に使っているように、レンブラントの夜警という絵が大好きでね。」
ドイル「レンブラントの夜警。」 レン「うん。」 ドイル「それはなぜ?」
レン「んーなん、というか、光の使い方がとてもうまいんだ。目の前にしたときに、えも言えぬような圧倒感を覚える、なんか、なんかかっこよくてね。」
レン「おっ?何やら。協会の人達には、絵に興味がある人がいっぱいいるようだね。僕としてはうれしいよ。」 ドイル「そうですね・・・」
レン「砂糖やミルクは大丈夫かい?」
ドイル「あ、じゃあ。」

スタッフ「失礼いたします。」
ファ「これはおいしそうだ。」
レン「フフフ」
太宰「実に芳しい。」
レン&ファ「うーん」
太宰「ノイマンは残念だな。」
ファ「ああ。」
ドイル「こちら、コメントでですね『悪魔と英雄についてどうお考えですか?』みたいな、コメントもきてるんですが。」
ファ「どう思うかという質問も難しいよな。」
太宰「フフ、それには個々の考えもあろう。でなければ、我々も派閥に分かれたの、だろうし。」
ファ「まぁ、君も知っているだろうが、悪魔も」
ドイル「はい。」
スタッフ「失礼いたします。メロンとリコッタチーズのパンケーキでございます。メイプルと有塩バターはご自由にお使いくださいませ。失礼いたしました。」
ファ「食べながら聞いてくれたまえ。」 ドイル「はい。」
ファ「そもそも悪魔というのは、英雄に呪いをかけた忌むべき存在だ。」 ドイル「はい。」
ファ「少なくとも教典にはそう書かれている。それをどう解釈するかは人それぞれかな。」
ファ「うん、うまい。」

レン「んー・・・・これはいい。食べないのかい?」
ドイル「あっ、いただきます。」 レン「それがいいよ。」

太宰「またそんなに砂糖を混ぜる」
レン「いいじゃないか、さっきも言っただろ個人のスタイルに干渉するなって。」
太宰「これから俺の隣に座るのをやめてくれたまえ。」
レン「ふっ、この席順はメリー様の意向で決まっているのだよ。」
(メリー、パンケーキに蜂蜜をジグザグに一気にかける。)
ドイル「先ほどその、メリー様のご意向で席順が決められたとあったんですが、メリー様よろしければどういったご意向なのかは。」
ファ「メリー様に直接質問は避けたまえ。メリー様は、この聖夜協会の会員が皆、えー・・・お、同じ教えを共に歩むことを願っていらっしゃる。そのご配慮だ。」
ドイル「失礼いたしました。」
太宰「まあしかし、これでノイマンの席も無くなろう」
レン「んん?」
太宰「何でもないさ。」
レン「ふーん・・・・なんだかなぁ。」



  • 最終更新:2015-01-05 09:52:54

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